経済思想家の手稿と自筆書簡

経済思想家の手稿と自筆書簡について

 経済思想史、社会思想史、哲学史の研究は、思想家の刊本にもとづく研究にとどまらず、それら刊本の基礎となった手稿類、さらにはその思想家の思考の進展や苦悩を具体的に、また時系列的に示すことさえできる自筆書簡などの一次資料さえも扱わなければならないほどの深化を遂げています。さらに、それら手稿や自筆書簡もすでに公刊された刊本を利用するにとどまらず、未発見・未公開・未公刊の一次資料にもとづく研究が求められています。しかし、一研究者がそれらの一次資料に接することはきわめて困難な状況にあります。それは新資料の発見の機会が少ないことはもちろん、たとえその機会に恵まれたとしても、その購入金額は一研究者の手には届かないものになっているからです。このような場合にこそ、研究図書館としての大学図書館の大きな役割があると考えます。

 関西学院大学図書館は、このような役割を意識しこれまで多くの未公刊の手稿や自筆書簡を蒐集・整理・翻刻してきました。その際、本館は、稀覯資料を単に図書館のお宝として蒐集するのではなく、本学における研究とその実績を踏まえてこれまで体系的に蒐集してきたコレクションを補い、これら手稿や書簡の利用によってその研究をさらに世界的なレベルにまで高めることが出来る可能性のあるものを蒐集してきました。

 このたび、本館が貴重な手稿や自筆書簡をデジタル化し広く公開することは、これらの資料が単に本館の財産というだけでなく、世界の研究レベルを高めるのに必要な共通財産であると考えているからであり、研究図書館としての社会的使命であると考えているからです。ここに公開しますのは、本館が所蔵する一次資料のうち、すでに翻刻が終わり公刊された資料や公刊されてはいないもののデジタル化が終わったものであり、今後も本館は、これら一次資料を可能な限り公開していくつもりです。

 最後になりましたが、これまで蒐集にご協力いただいた学内関係者はもとより、これら一次資料の購入に際し助成いただいた学外の諸機関、さらにはこのような本館の一次資料の蒐集原則をご理解いただき、その蒐集にご協力いただいた書店各社にも深く感謝したいと思います。

2007年4月 関西学院大学図書館
Copyright © 2011 Kwansei Gakuin University. All Rights Reserved.