2000年11月1日から30日までの期間に開催された本学図書館主催の第9回特別展示は、「『明治政治史』関係書翰」をテーマにした内容であった。これは、関西学院名誉中学部長の故真鍋由郎氏のご遺族から寄贈された明治初期、開拓使の最高幹部・安田定則に宛てられた書翰などである。安田定則は当時の開拓使長官であった黒田清隆の信頼が厚く、書翰の差出人には伊藤博文、三条実美、岩倉具視、松方正義ら首相級の要人が目立ち、ここから安田の実力者ぶりがうかがえる。また、書翰からは政府における薩摩閥と黒田グループの政治動向が推察され、維新政府の権力構造を示す貴重な史料となっている。
なお、このデジタルライブラリにおける解説文については、宮地正人「安田定則と安田定則関係文書について」、同「特別展示資料解説」、同「学術資料講演会要旨 明治政治史の新解釈~関西学院大学図書館所蔵「安田書翰をふまえて」(いずれも、関西学院大学図書館報『時計台』No.70 2001年に掲載)に依拠している。