明治・大正の文学者たちの書簡と草稿

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前田曙山『春の七草』

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前田曙山 まえだ しょざん
明治4(1871)年11月21日~昭和16(1941)年2月8日。

小説家。演芸家。東京馬喰町に生まれる。本名次郎。日本英学館などに学ぶ。兄の太郎(香縁情史)が川上眉山の幼友達で硯友社の一員であったことから、「千紫万紅」に処女作『江戸桜』(明治24年)に発表して硯友社作家として出発。ほぼ硯友社全盛時代に主な作家活動を示した。『蝗うり』(「文芸倶楽部」明治28年)は深刻小説の先端を行き、題材の新しさと写実的手法とで評判を得た。以後『にごり水』(「都新聞」明治31年)、『千枚張』(『東京旭日新聞』明治32年、後に『腕くらべ』と改題)、『檜舞台』(明治34年 春陽堂)など社会裏面の暴露、風刺小説の方向に進み、通俗的であるが題材の珍しさで好評を得た。自然主義の時代はふるわず、橋南堂を起こして「園芸之友」を発刊し、俳誌「キヌタ」の主催などをした。大正12年「大阪朝日新聞」に『幕末巷談 燃ゆる渦巻』(大正12年~13年)を連載して絶賛を博し、大衆作家としての地位を確立した。

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