山岸荷葉 やまぎし かよう
明治9(1876)年1月29日~昭和20(1945)年3月10日。
小説家。東京日本橋通油町に生まれる。本名惣次郎、別号加賀舎。幼少より書をよくし、巌谷一六の門に入って学び、後年かがのや流の書で一家をなした。また川田甕江(ようこう)の塾に入り、東京専門学校に進んで坪内逍遥に師事、のち尾崎紅葉の門に移って荷葉の号をうけ、硯友社の有力同人となった。明治25年、武田桜桃らと同人誌「詞海」を創刊し、小説を発表しはじめた。文壇登場作は『紅筆』(「新著月刊」明治30年7月)で、作者得意の狭斜界に取材し、彼のいわゆる「日本橋文学」の第一作となった。ついで『おぼえ帳』、『片恋源氏』、『裁縫指南所』などの同傾向の小説や『はにかみ聟』、『風流鞘当筋』などの脚本も書いた。明治32年読売に入社、劇評を担当し、後年その面でも一家をなした。