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稼人証票台帳 1886(明治19)年

稼人証票台帳
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酒造家に雇用される人々には、直接酒の醸造に携わる蔵人、米踏み労働を行う碓屋(うすや)、酒造米の搬入を行う労働者、蒸米のために薪を割る木割労働者、酒造家の常雇いの奉公人などが存在した。これら雇用人は雇用年数や技術力などによって階級があり、職務内容も異なっていた。

例えば直接醸造に携わる蔵人は、杜氏を筆頭に飯焚まで職務分担があった。彼らは冬季に生産手段を持たない山間地帯の農民であり、出稼ぎ労働者としてやってくる者たちであったが、その出身地は播磨国、丹波国、但馬国などであった。特に丹波国出身の「丹波杜氏」はその高い技術力で名を馳せていた。

この史料は、上灘東組(魚崎郷)へ出稼ぎに来た蔵人の名簿である。出稼人の出身地・名前・生年月日、雇い主の氏名・住所、稼場所、職名が記載されている。

(井戸田 史子)