灘組酒家仲間が酒造働人(蔵人)に守らせる事項などを申し合わせたもの。その内容は、近年米価が高値であるが、とくに今年は高いので、頭司(杜氏)は勿論のこと、脇・右衛門・下働人に至るまで精を出して勤めるべきこと(第2条)、働人の故郷から親類または知人が訪ねてきても、みだりに敷地内に立ち入らせないこと(第6条)、働人はみだりに外出しない事(第7条)、働人が帰郷する時にかんばん料(働人が持参する夜具に対して支払われるお金)や土産の酒以外には持ち帰らせないこと。万一荷物改めの時にその他の物が見つかったならば、かんばん料や土産酒・名札などを取り上げて、摂泉十二郷の酒造家はそれ以後その者を雇ってはならないこと(第10条)などが規定されている。
このように酒造家達は酒造働人への対応について各酒造家毎に差異がないようにしていたことがわかる。とくに第10条は、働人が一度不始末を起こしてある酒造家を解雇されてしまうと、それ以後は摂泉十二郷のほかの酒造家にも雇ってもらえない規定になっており、摂泉十二郷全体で協力して働人の規制を行っていたといえる。