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童蒙酒造記 1687(貞享4)年

童蒙酒造記
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江戸時代に書かれた酒造りの秘伝書。表紙には「努々(ゆめゆめ)他見致すべからざるものなり」とあり、「この秘伝書を他人に見せてはならない」と注記されている。

酒造の工程をみると、第一に酒造米を精米する。この精米方法は江戸時代前期から中期には人力で踏みつける足踏精米であったが、後期になると灘地域では水車精米の技法が開発されて生産量を増大させた。続いて洗米作業が行われ、さらに甑(こしき)と呼ばれる「せいろ」で米が蒸される。この蒸米工程と並行して行われるのが麹(こうじ)仕込み、酛(もと)仕込、もろみ仕込の各工程である。麹仕込は蒸米に種麹を混ぜて麹を作り、酛仕込は蒸米・麹・水を混ぜ発酵させて酛を作る。こうして出来た酛に、蒸米・麹・水を加えてさらに発酵させ、酒の成熟を図るのがもろみ仕込である。このもろみの熟成から8~9日を経て、もろみを酒袋に入れて「酒槽(さかふね)」で絞る「搾揚」を行う。最後に夏期の腐敗を予防するための火入れ作業を行い、樽詰をして完成となる。

(井戸田 史子)