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新酒番船江戸新川入津図 1861(文久元)年〜1864(元治元)年頃

新酒番船江戸新川入津図
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これは二代広重の代表作である「江戸名勝図会」のうち、現在知られる71枚の中の1枚である。二代広重は世界的にも名声を馳せた初代広重の門人であったが、初代の没後、彼の長女お辰の婿となって二代目を襲名した。

新酒番船とは、1727(享保12)年頃から始まった行事で、約10艘の廻船が大坂もしくは西宮を同時に出帆して、その年の最初の酒を江戸に輸送する速さを競うレースであった。1790(寛政2)年には西宮から江戸まで58時間で到着したという記録もあるが、およそ5日程で到着するのが通例であった。一方、レースをはなれた通常の輸送では、風待ちの日数も含めて12~20日間程かかった。入賞3位以内の新酒の値段がその年の酒価の基準となるため、非常に関心を持たれた行事でもあった。

この絵は新酒番船がゴール地点である江戸の新川に入船して来た様子を描いたものである。江戸の新川は酒問屋の集中する地域となっていたが、この絵にも白壁の酒問屋の蔵が建ち並んでいる様子が描かれている。

(井戸田 史子)