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ラテン語ウルガタ聖書写本

ラテン語ウルガタ聖書写本

ラテン語ウルガタ聖書写本

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書名[Biblia sacra]
出版年[12--?]
配架場所上ケ原貴重図書
請求記号220.4:87

解説

 ヒエロニムスによりラテン語に訳されたウルガタ聖書で、13世紀後半に北フランスの写本工房で筆写されたものである。新約と旧約聖書を1巻にまとめた携帯サイズの聖書は13世紀前半にパリの写本工房で制作されはじめた。 当時のパリは神学研究の中心地で、神学者の注釈を余白に加えた聖書が数多く制作された。
 聖書の個人所有が可能となったことは、書物史上革新的な出来事だった。13世紀も半ばまでは、余白に簡素な欄外装飾や人物や動物を型取った小型イニシアル入りの聖書が一般的だったが、13世紀も半ばを過ぎると次第に豪奢なイニシアル彩飾文字入の聖書が見られるようになった。本書に挿入された装飾イニシアル文字のデザインは秀逸で、当時の最高技術を有する彩飾職人の手になるものと考えられる。6行から12行大のイニシアル文字が52点と、79点の精緻な装飾を施したイニシアル文字が含まれている。本文は743葉で完本、羊皮紙にゴシック様式の筆写体で書かれている。
 ケルンのカルトゥジオ修道会の聖バルバラ修道院の所蔵の後、イギリスの写本蒐集家トーマス・フィリップス卿(1792-1872)により所蔵された名品聖書である。フィリップス卿が、生涯をかけて作り上げた写本コレクションは、イギリス史上最大の個人コレクションとして知られ、フィリップス卿の死後に競売にかけられ、現在それぞれが欧米の主要な図書館の中心的な蔵書となっている。

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