[Letter] 1760 March 19, Glasgow [to 1st Earl of Shelburne]
アダム・スミスのシェルバーン卿宛自筆書簡(1760年3月19日)
宛名のシェルバーン卿(初代シェルバーン伯 爵、ジョン・ペティ・フイッツモリス、1706-61)はウィ リアム・ペティ(1623-87)の末裔に当たる人物で、そ の長男のフイッツモリス子爵(1737-1805、のちの第 二代シェルバーン伯爵、首相)は、自らが教育を 受けたオクスフォード大学の沈滞ぶりに鑑みて弟 のトマス・フイッツモリス(1742-93)の教育をグラー ズゴウ大学のアダム・スミス(1723-90)に委ねること になった。スミスは自分の教授宅にトマスを住み込 ませてその教育に当たった。The correspondence of Adam Smithにはトマスの行動・性格・勉学ぶりを父親 のシェルバーンに伝える13通の書簡が収録されている が、本書簡(#49)は、トマスの病状からの回復を 報告しているもので、この時期の書簡にみられる教 え子に対する配慮は、のちに旅行付き添い家庭教 師としてフランスから青年バクルー公爵(とその弟) の病状をその母親と継父(チャールズ・タウンゼン ド)に伝えている書簡のそれに匹敵するものであ る。 注 篠原久「アダム・スミスのシェルバーン卿宛自筆 書簡」(特別展示資料)解説」『関西学院大学図書館 報時計台』No.71、2002年