経済思想家の手稿と自筆書簡

[Letter to] an Unidentified Correspondent[J.F.Clark], Sept. 9 1869

J. S. ミルの[クラーク宛]自筆書簡

ミルの晩年の社会的活動として注目すべきは、書簡中にあるように1869年秋に設立準備が行われた土地保有改革協会への参画であった。ミルはその設立時に「臨時委員会の議長となり、翌年7月に決定された綱領の起草に参画し、次いで同協会の会長になったことである。この綱領は、長子相続法の廃止、地代の大部分の課税による収用、国有地の共同組合への貸付、自然美の保護など、ミルの持論を大幅に反映するものであった。この書簡の宛先であるが、書面にある James Clark 卿の一人息子であるJ.F.クラークの可能性が高い。というのは、ミルの主治医であった父クラークからミルは、1840年以降しばしばアドバイスを受けているからである。この受取人不明の書簡は、未公刊の書簡である。

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