経済思想家の手稿と自筆書簡

[Letter to] Edward Backhous Eastwick or W. J. Eastwick, July 10 1866

J. S. ミルのE. B. イーストウィックもしくはW. J. イーストウィック宛自筆書簡

イーストウィック(Edward Backhouse Eastwick ,1814-83)は、イギリスの外交官で、東洋学者。ブライト(Jacob Bright, 1821-99)とともに婦人参政権運動を支援した。
1865年、下院議員に選出されたミルは、1866年に婦人参政権の請願を下院に提出し、翌年5月20日、婦人参政権を要求して下院で演説をしたが、1868年11月の下院議員選挙で落選した。1869年 になると The Subjection of Women を出版した。この頃は全国各地に婦人参政権運動の組織がつくられたが、1871年には、バトラーの「性病法」の撤廃運動をめぐり運動内部が分裂し、1872年のミルの死により運動は大打撃をうけた。ミルの下院での婦人参政権運動を引き継いだブライトも、運動の分裂の結果、1874年には落選したが、1877年、ブライトが再度当選した頃から、運動に統一の兆しがみられ、1883年に第5版が出版された翌年の1884には第三次選挙法改正の高まりがみられ、女性のあいだでも婦人参政権の実現が期待されうようになった。
なお、この宛名については、兄の W. J. Eastwick
(1808-89)の可能性も否定できない。ただ、現在 CWに収録されているミル書簡には、直接この兄へ送った書簡は含まれていない。 Collected Works of John Stuart Mill に未収録の書簡である。

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